ハイブリッド型バーチャル株主総会とは

令和2年2月26日、経産省は「ハイブリッド型バーチャル株主総会」の実施ガイドを策定し、公表しました。

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会を開催しつつ、当該リアル株主総会の場に在所しない株主についても、インターネット等の手段を用いて遠隔地からこれに参加または出席することを許容する株主総会をいいます。

経済産業省実施ガイド

ハイブリッド型には「出席型」と「参加型」という形式があります。「出席型」と「参加型」で「ハイブリッド」なわけではありません。令和2年6月の株主総会では、新型コロナウイルス感染症拡大防止策の一環としても注目され、上場会社のうちハイブリッド「出席型」は9社、ハイブリッド「参加型」は113社で実施されたそうです。

ネーミングは普通に「オンライン株主総会じゃいけないのか?」と感じますが、経産省はコロナ前からこの制度を検討し、コロナが本格的に流行する前に実施ガイドを公表していたというのは、特筆すべきことかと思います。さすが意識高い系省庁(褒め言葉です)と言われるだけはある。司法書士としては、株主総会のあり方についての発表なのに法務省発表じゃないところが悲しいです。

会社法298条

①取締役は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 株主総会の日時及び場所
 二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
 三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
 四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
 五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

法律になると「電子計算機」とか「電磁的方法」とか、こちらも逆ベクトルで分かりにくい用語になります。法律では電子的な議決の行使は定まっていたのですが、あくまでこれは出席しない株主に関する規定なので、「具体的にどのように株主総会を管理運営すれば適法となるのか」法務省と検討を重ねて来たのでしょう。

では、「参加型」と「出席型」の違いはどこにあるのでしょうか。ハイブリッド参加型バーチャル株主総会は、基本的にインターネットなどの手段を用いて参加する株主は「出席」していないため、当日の現場で行われる決議に投票することや質問などはできません。そのため、あらかじめ招集通知などで案内する際には、事前行使(§298Ⅰ③の書面による議決や④の電磁的方法による決議)を行うよう促すことが必要となります。一方、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会は、インターネットなどの手段を用いて参加した株主が、会社法上の「出席」となる形態です。株主総会の現場にいる人と同じということです。「開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている」ことを前提に、出席型による開催が許容されています。

要するに「参加型」は当日は見てるだけ、「出席型」は当日の議決に参加できるということです。うん?参加できる?この辺の誤解を生むネーミングは本当にどうにかして欲しいです。「参加」と「出席」は一般用語としては差異ないでしょう。

君!今度の株主総会はどうするのかね?

参加させていただきます!

君!今度の株主総会はどうするのかね?

出席させていただきます!

って違うの?違わんでしょ?散々悩んでこれだったの?会社法に「出席しない」という文言を使っているから「出席型」は外せなかったんでしょ?なら出席しない方は「非出席型」とか「傍聴型」でもよくない?これでも分かりにくいかもしれんけど。

ともあれ、「参加型」は、以前より、株主数が多い会社ではサテライト会場で放送していたり、会社によっては株主総会の様子をオンラインで公開していましたので、これの延長上といえると思います。一方「出席型」はその日その場で質問したり議決権を行使したりしますので、確実な通信設備とその場で投票をカウントするシステムが必要なります。よって、かなり敷居が高いです。テレビ局でさえ通信が途絶えることがあるのに、どうやって一般の会社が途切れない通信を確保できるのでしょうか。

もう「あつ森」でやればいいと思います。

§298Ⅰ③←書き方が正しいのか誰か教えて下さい。