法定後見制度(成年後見制度)とは

法定後見制度とは、認知症等で判断能力が衰えてしまった人や知的障害等によって判断が困難な人などを、 周囲の人が後見人等(後見人・保佐人・補助人)となって不当な契約などから守ったり、意思決定の支援を行ったりする制度です。支援が必要な人の判断能力に応じて後見・補佐・補助の3つの類型があります。

法定後見制度の類型
類型判断基準
後見常時判断能力が欠けている状態
保佐判断能力が著しく不十分な状態
補助判断能力が不十分な状態

同じく後見制度という括りでは「任意後見制度」がありますが、任意後見制度は判断能力に問題がないうちに始める制度であり、「法定後見制度」は判断能力に自信がなくなってから始まる制度になります。そのため、法定後見制度を利用するには、この制度を本当に利用して良いのか判断するため、家庭裁判所での審判が必要になります。

家庭裁判所への申立書には、医師の診断書が必要となりますが、長谷川式簡易知能評価スケールにおいて、10点以下だと後見相当、11点~18点くらいだと保佐相当、15点~22点くらいだと補助相当といわれています。現在は、医学的な観点だけではなく、ケアマネジャーなど本人(支援が必要な人のことで「本人」と呼ばれます)と日頃から関わりを持つ担当者が、本人の日常生活の現状を報告する「本人情報シート」の提供も必要となっており、支援の必要性について、より個別具体的に判断されるようになりました。

後見人・保佐人・補助人となるために特別な資格はありません。家庭裁判所で選任される必要はありますが、親族でも友人でも、援助を必要とする方にとって適任であれば、大丈夫です。もちろん、当職のような専門家に依頼することも可能です。

家庭裁判所で後見(補佐・補助)の開始決定がなされると、後見人等がそれぞれ被後見人・被保佐人・被補助人のサポートを開始することになります。ネット上では、いわゆる専門家後見人に対し「通帳だけ預かって何もしない」といった厳しいご意見も見受けられますが、「エアコンが壊れたから確認して欲しい」とか、「ティッシュペーパーが切れたから買ってきて欲しい」といった依頼をされることも多く、ヘルパーさん的なことも、結果的に、かなりやることになります(少なくとも当職はやってます)。

近年のトレンドとして、本人の気持ちや考えを最大限尊重するため、後見人等が代わりに意思決定をする制度から後見人等が本人の意思決定をサポートする制度へと進化しつつあり、「代わりにやってやってる」と勘違いしている専門家は淘汰されていくと思います。

成年後見制度が認知されるに従って利用者はますます増えています。個人の権利を守るために必要な制度であり、うまく利用すれば本人のQOLの向上に資する制度なのですが、特に、医療や介護の現場で、成年後見制度を利用すれば何もかも上手くいくといった誤った認識が広まっている気がして、とても危惧しています。