遺族基礎年金について
年金制度は、大きく国民年金と厚生年金があるため、遺族年金も遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがありますが、ここでは遺族基礎年金について、紹介したいと思います。
遺族基礎年金を受給するには亡くなった人の要件 | 受給する人の要件 |
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①被保険者 ②被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である者 ③老齢基礎年金(25年)の受給権者 ④老齢基礎年金(25年)の受給資格期間を満たしている者。 | 亡くなった人によって生計を維持されていた ①子のある配偶者 ②子(高校卒業まで) |
受給要件については、他にも保険料納付要件などが入ってきて複雑化するため、詳しい説明は割愛しますが、遺族基礎年金は、受給権者(遺族)に子(原則として18歳に達する年度の3月31日まで=高校卒業までとしています)がいないと受給できません。例えば、夫に先立たれた妻に高校卒業までの子がいない場合、遺族基礎年金は支給されません。ですから、当職は、遺族基礎年金は「子のための年金」だと理解しています。
金額は、誰が受給するかによって異なります。それぞれ、次のとおりです(実際の金額は毎年改定率というものをかけて計算されるので支給額は異なります)。
子のある配偶者が受給する場合の額配偶者(基本額) | 1人目の子の加算 | 2人目の子の加算 | 3人目以降の子の加算 |
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780,900円 | 224,700円 | 224,700円 | 74,900円 |
例えば、夫が亡くなり、妻と中学生と小学生の子が残されてしまった場合、妻の年金額は、780,900円+224,700円+224,700円=1,230,300円となります。遺族基礎年金は高校卒業までの子がいることが条件なので、中学生の子が高校を卒業すると224,700円減額され、小学生の子が高校を卒業すると支給されなくなります。ただし、妻が残された場合、厚生年金保険によって中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算という制度があり、こちらの加算で減額分を補填する制度があります。夫が残された場合、このような加算制度はありません。
1人目の子(基本額) | 2人目の子の加算 | 3人目以降の子の加算 |
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780,900円 | 224,700円 | 74,900円 |
例えば、高校卒業しない二人きょうだいが残されてしまった場合、780,900円+224,700円=1,005,600円となり、これを二人のきょうだいで等分し、それぞれ、502,800円の年金額になります。就労してない未成年者の場合、年金以外に様々な社会福祉施策がなされますが、さすがにこれでは少ないは?というのが実感です。というのも、当職も、実際にこのパターンのきょうだいの未成年後見人を受任したことがありますが、上の子は既に高校3年生であったため、ほとんど所持金のない状況で就職しました。高校生までは学費さえどうにかなれば、そんなに多額の費用が必要になることはありませんが、子が遺族基礎年金を受給する場合、養育する親が存在しないことが前提ですから、進学や就職のことを考えると、もう少し貯蓄ができる金額だといいかもしれません。