中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算とは

中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)は、夫を亡くして40歳以上で、子どもがいないまたは末っ子が高校を卒業した妻が受給する「遺族厚生年金」に加算されるものです。65歳からは経過的寡婦加算(けいかてきかふかさん)に切り替わります(対象は昭和31年4月1日以前に生まれた人)。これらの加算は、遺族基礎年金を受給できる妻とできない妻の間の不公平感や、遺族基礎年金の受給が終わった妻の年金額の急激な減額を避けるために設けられている措置です。あくまで「遺族厚生年金」に上乗せされる加給金であることに注意が必要です。また、夫にはこのような制度はありません

それぞれを詳しく紹介していきます。

まず、中高齢寡婦加算です。話が「遺族基礎年金」に飛びますが、遺族基礎年金は子のいない妻には支給されることはなく、子がいても末っ子が高校を卒業すると支給されなくなります。

遺族年金の受給の可否
 子のある妻子のない妻
子が高校を卒業した妻
遺族基礎年金もらえるもらえない

遺族基礎年金の受給は、子があることが条件ですので、妻に支給される遺族基礎年金は、780,900円(配偶者分)+224,700円(一人目の子の加給分)=1,005,600円が最低額になります。制度上当然のことですが、この遺族基礎年金は、末っ子が高校を卒業した翌月からパタッと止まってしまうことになります。また、そもそも、夫が死亡したときに高校卒業未満の子のない妻には、遺族基礎年金は支給されません。妻に高校卒業未満の子がいるかいないかということだけで、1階部分の年金である遺族基礎年金の受給の可否が決まり、残された妻の受給額に大きな差が生じてしまいます

この1階部分の年金額の急激な変化と不公平感を緩和させるための給付が、中高齢寡婦加算です。寡婦というのは、いわゆる未亡人のことです(今使うと怒られそうな単語ですが…)。つまりこういうことです。

遺族基礎年金と中高齢寡婦加算の関係
 子のある妻子のない妻
子が高校を卒業した妻
1階部分の年金遺族基礎年金中高齢寡婦加算でカバー

ただし、夫が死亡したときまたは末っ子が高校を卒業したときに、妻の年齢が40歳以上であることが要件となります。ですから、中高齢寡婦加算と呼ばれます(40歳の妻は中高齢なんです!ただ、子供が全員高校を卒業した年齢と考えると40歳を超えてしまうのは普通ではないでしょうか)。中高齢寡婦加算は、妻自身が、自分の老齢基礎年金を受給できるようになるまで、つまり65歳まで、支給されます。支給額は、遺族基礎年金の額(780,900円)の4分の3≒585,700円です。

つぎに、経過的寡婦加算です。上述のとおり、中高齢寡婦加算は、妻自身の老齢基礎年金の受給が始まると停止されてしまいます。中高齢寡婦加算でカバーしていた1階部分の年金は、自身の老齢基礎年金でカバーできるからです。つまりこういうことです。

中高齢寡婦加算と老齢基礎年金の関係
 妻が65歳まで妻が65歳以降
1階部分の年金中高齢寡婦加算でカバー自身の老齢基礎年金でカバー

ここで、別の問題が生じます。妻自身の老齢基礎年金の額という問題です。どういうことかというと、基礎年金制度が始まったのが昭和61年4月1日です。一方で満額の老齢基礎年金を受給するためには、20歳から60歳までの40年間(=480月)国民年金に保険料を収める必要があります。昭和31年4月1日より前に生まれた妻は、基礎年金制度が始まった昭和61年4月1日の時点で30歳を超えています。どんなに頑張っても、制度上30年未満の期間しか国民年金に入れなかったという人が現れてしまいます。そうなると、老齢基礎年金の額が、40年分の30年分、すなわち、満額の基礎年金(=満額の遺族年金)の4分の3より少なくなってしまいます。これでは、中高齢寡婦加算を受給していた妻の1階部分の年金が減ってしまします。この差額を埋める制度が経過的寡婦加算です。つまりこういうことです。

経過的加算の役割
 妻が65歳まで妻が65歳以降
1階部分の年金中高齢寡婦加算でカバー自身の老齢基礎年金でカバー
不足分を経過的寡婦加算で補填

以上、中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算の紹介でした。これらの加算は、特段の請求をすることなく、要件に当てはまれば、自動的に加算されるものですから「読んでも分からない!」方も、ご安心下さい。ちゃんと付いてますから!夫にはこのような制度はないことも、お忘れなく。